COLUMN

2021.02.17

プレコンセプションケア:「女性」や「将来の家族」が健やかな生活を送るために!

 

「プレコンセプションケアは、妊娠を計画している女性だけではなく、すべての妊娠可能年齢の女性にとって大切なケアです。自分を管理して健康な生活習慣を身につけることは、女性や将来の家族がより健康な生活をおくれるようになることにつながります。」

 

これは、2015年に日本で初めてプレコンセプションケアセンターを開設した国立成育医療センターが述べている言葉です。

 

プレコンセプションケアをご存じですか?

 

「コンセプション(conception)」とは「受胎」を意味する英語で、おなかの中に新しい命が授かることをいいます。「プレコンセプションケア」とは、「妊娠前管理」とも訳されますが、単に「妊娠に向けた体つくり」という意味だけでなく、「前思春期から生殖可能年齢にある“すべての女性”が、体も、心も、健康な状態で過ごせるように心身を整える」という意味があります。

 

そもそもプレコンセプションケアは、2006年に米疾病対策センターが導入した概念であり、WHOも2012年からプレコンセプションケアの対策を始めています。

 

早い段階から妊娠・出産の知識を持ち、自分の体への健康意識を高めてライフプランを考えていくことを推奨するものであり、妊娠はまだ先と考えている若い世代も将来の妊娠に備えて健康を維持し、妊娠や出産の正しい知識を持っておくことを含んでいます。

 

我が国のプレコンセプションケア事情

 

ところで、学校や会社で妊娠・出産に関する学びをした経験はありますか?

 

我が国では、小・中・高等学校において、性に関することや生涯に通じる健康の知識についての教育は行われておりますが、卒業後から妊娠前に「妊娠・出産に関する教育」を受けたことがある方はどの位いるでしょうか?

 

残念ながら、女性の健康を守るための教育や検診などのシステムは不十分であり、妊娠・出産に関する知識が低いという問題が指摘されています。

 

ある調査によれば、生理前から生理中によくある症状の実態について尋ねたところ、ほとんどの方に何らかの症状があったと報告されています。しかし、こうした諸症状が複数あるならば婦人科に相談することが推奨されているにもかかわらず、実際に受診している方は約3割にとどまっていることがわかりました。

 

その背景として「婦人科に受診すること自体に抵抗感がある」といった認識の問題や、そのほかにも「月経痛であれば市販の鎮痛剤で対応している」「ライフプラを考えたことがない」「いつか妊娠できればいいと思っている」といった女性も決して少なくはないようです。

 

もっと素敵な自分に、そして未来の家族のために!

 

出産年齢の高齢化や、若い世代のやせの増加などの実態に加え、医療水準の向上によって妊娠・出産のチャンスが増えている今、一人ひとりの女性が妊娠前から自分の心身の健康について理解し、自身や大切な家族の健康を守っていくための知識やケアを学ぶことは有益なことです。

 

図:プレコンセプションケアの位置づけ

(引用:https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/)

 

上の図はWHOが作成した図を国立成育医療センターが引用・改変したものになりますが、我が国においても近年、プレコンセプションケアの概念が徐々に浸透しており、これらを取り巻く環境は大きく変わりつつあります。

 

中でも注目することは2020年12月に議決された第5次男女共同参画基本計画の内容であり、そのなかでは、学童期・思春期の早い段階から妊娠・出産の知識を持ち、健康意識を高めることの必要性や、リプロダクティブ・ヘルツ/ライツの視点の重要性など、「生涯を通じた健康支援の取り組み」について言及されています。

 

また、生涯を見通した健康な体づくりを推進するために、「年代に応じた教育・啓発に関する事柄」や「女性のスポーツ参加を促す取り組み」について明記されていることも見逃せません。

 

今日から始めるプレコンセプションケア

 

より健やかで、より質の高い生活を送っていくために、まずは自分自身の体や日ごろの生活を見つめてみましょう。

 

ご自身の健康で気になることはないですか?

日ごろの食事や運動はどうでしょうか?

年に一度は健診を受け、健康状態を確認していますか?

 

幣協会では、積極的に体を動かす機会の提供として、各地でバランスボールエクササイズのレッスンを開催しております。また、体力つくりの専門家である体力指導士や産後ケアの専門家である産後指導士がさまざまな年代を対象に、ホルモン調整など女性が知るべき知識やセルフケアを学べる講座や産前産後ケアに関するクラスを開催しております。

 

自分自身の体を知り・学ぶことは、生涯にかけて自己をより輝かせていくチャンスを広げていくことに直結しています。プレコンセプションケアは自身の健康と生活に向き合うことです。ぜひ最寄りのレッスンや講座に参加し、未来を見据えたプレコンセプションケアを始めてみませんか?