COLUMN

2021.07.14

あなたが弾めば、みんなが健康に!そんな“ゼロ次予防”を始めてみませんか?

 

ゼロ次予防」という言葉を聞いたことがありますか?

 

ゼロ次予防primordial preventionとは、予防の最も新しい概念であり、早期発見、早期治療と並行して、病気の発症やリスクにつながる「環境要因」に着目し、病気の発症自体を大きく減らしていこうという考え方です。

 

これは1970年代に循環器疾患の予防に関する研究から見出されたものです。

 

これまで動物性飽和脂肪酸を多く摂取する習慣がなかった中国や日本において、喫煙や高血圧などの重要なリスクファクターが高く存在するのにも関わらず心血管障害が起こりづらいことが注目され、個人要因ばかりではなく、社会的、文化的な環境要因も重要であるとの考え方が示されました。

 

一次予防や二次予防の重要性が強調されている一方で、常に課題として指摘されてきたのは学歴や収入などの個人要因の問題です。こうした課題に対して、個人の努力を超えて介入していくのがゼロ次予防。例えば、健康を害する最大の要因は喫煙ですが、アイスランドではタバコの自動販売機そのものを撤去し、平均寿命世界一を達成しています。

 

環境が変わると健康度が変わる!

 

我が国でも環境と健康に関する研究は盛んであり、歩きやすさや公園などの建造環境などがそこに暮らす人々の行動に影響して、健康にも違いをもたらしていることが明らかになっています。

 

具体的には、「公園の近くに暮らす高齢者は運動頻度が高い」「公共交通機関を利用する高齢者では歯科受診が高い」などであり、また「歩く人が多い地域は認知症リスクが少ない」といったことも報告されています。さらに、健康寿命を都道府県別に詳しく見た結果、地域によって2~3歳の差があることが明らかになりました。

 

なぜ地域によって健康寿命に差ができるのか?

 

実はその理由のひとつが「社会参加」であることが明らかになっています。つまり、仕事や趣味、スポーツや子育て支援といったグループへの参加頻度が得られる人が多い市町村ほど、要介護状態や認知症、うつが少ないという結果が示されているのです。

 

スポーツが健康に良いことは、多くの人が知っていることです。しかしながら、スポーツをする人が多い地域に暮らしており、スポーツを見ていたりするだけでも、健康状態が良くなる可能性がみえていることは非常に興味深いことです。

 

自然と健康になる環境づくりにインストラクターを役立てていきませんか!

 

健康によい環境づくりを進めていけば、暮らしているだけで健康になる街が実現しそうだということが分かってきている昨今。

 

地域の社会参加の機会を増やしていくことが、その地域で暮らす住民の健康度を高めていくことに繋がるのであれば、私たちの暮らしの中に運動する機会や仲間が増えていくことは価値あることです。

 

また、身近な「家庭」や「職場」においても、ついつい運動したくなる環境があることで、努力しなくても健康になってしまうことができたら、非常に素晴らしいことですよね。

 

体力メンテナンス協会では、コロナ禍でも多くのインストラクターが細心の注意を払って、現地やオンラインでのレッスンを提供していますが、こうした活動はいずれも常に運動を身近なものにし、ゼロ次予防にも通じていることです。

 

バランスボールとともに健康な環境づくりを!

 

地域で仲間と弾める場がある。職場でレッスンを体験できる。

 

こうした環境があるだけで、意識していなくても運動への関心にスイッチが入り、体を動かしてみようかなという思いが芽生えてくる。そして気が付けば、それが個人の、家庭の、職場の運動機会を増やし、元気や活力につながっていくというのは多くのインストラクターが実際に実感していることでもあります。

 

私たちインストラクターは、それぞれが環境となって、それぞれの地域を元気に活性化していくことができます。もちろんインストラクターになることで、自身が地域や職場の健康度を高める環境づくりに貢献していくこともできます。

 

個人や地域の社会参加を増やし、個人を、地域を元気にしていくレッスンを各地で開催しています。ぜひ繋がってくださいね!