COLUMN

2022.03.19

疲れの正体をご存知ですか?疲労を制し、疲れ知らずの生き方を。

 

普段から「疲れた」が口癖になっていませんか?

 

この「疲れた」と感じる感覚は、「疼痛」、「発熱」と並ぶ生体アラームの一つであり、「これ以上運動や仕事などの作業を続けると体に害が及びますよ」と教えてくれている防御システムの一つです。

 

2012年の調査によれば、地域住民の4割近くが半年以上も続く慢性的な疲労を自覚しており、その半数近くは疲労が誘因となって日常や社会生活上の問題を抱えていることが確認されています。

 

このように多くの人が疲れを感じているにもかかわらず、改めて「疲労とは何か」について考えていくと、「疲労の正体はこれです!」と明快に即答できる人は少ないのではないでしょうか?

 

そもそも、疲労とは何なのか?

 

日本疲労学会によれば、「疲労とは、過度の肉体的および精神活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の衰退状態である」と定義されています。

 

もっとシンプルに言うのであれば、疲労とは「心身への過負荷によって生じた活動能力の低下」であり、こうした状態になることで、思考力が低下したり、刺激に対する反応が鈍くなったり、頭痛、肩こり、目がかすむ等の身体症状が見られたりします。

 

 

疲労の原因:疲労を引き起こす正体とは?

 

近年、疲労を起こすのは「活性酸素による酸化ストレス」が原因であると指摘されています。細胞が酸化ストレスにされることによって錆びつきを引き起こし、細胞本来の機能を維持できなくなることが分かってきました。

 

以前は長い間、筋肉に乳酸が蓄積すると疲労が起こると言われていました。しかし、今では科学的根拠がないことが分かり、乳酸は疲労を起こす物質であるという考えは間違いであるとされています。

 

私たちが活動を起こす時は、体内のあらゆる場所で酸素を用いてATPというエネルギー物質を作りだしていますが、その際には必ず活性酸素が作られます。この活性酸素は強力な酸性作用を持ち、ウイルスを攻撃する作用がありますが、一方で私たちの細胞をも破壊してしまいます。

 

通常は、こうした活性酸素から細胞を守るシステムが働きますが、何らかの原因で処理しきれないほどの活性酸素が作られてしまうと、細胞を修復することができず、機能不全に陥り、疲労に繋がっていきます。

 

疲労感を感じるメカニズム

 

では、「疲れている」と感じているとき、私たちの生体ではどんな変化が起きているのでしょうか?この疲労のメカニズムに関しては、現代の疲労は「自律神経系の機能低下」が大きく関与していることが分かってきました。

 

運動を始めると、呼吸が速くなったり、心拍数が上がったり、汗をかいたりしますが、こうした生体反応を制御しているのが自律神経です。運動や活動が過度になると、この自律神経での処理が激増します。その結果、脳細胞で活性酸素が過剰に発生し、酸化ストレスにさらされ、本来の自律神経の機能が果たせなくなってしまうのです。これがいわゆる「脳疲労」であり、脳で「疲労」が生じ、疲れたというシグナルが送られると、私たちは「疲労感」として自覚するのです。

 

疲れ知らずの体をつくるために

 

そもそも動物に過労死はありません。それはなぜかと言えば、疲労感は命を守る大事な生体アラームであり、動物は疲れたら休んでいるからです。しかし、前頭葉が発達した人間は、ドーパミンなどの興奮物質によって疲れていても疲労感を適切に感じられなくなってしまうこともあります。

 

1984年にアメリカで「慢性疲労症候群」の患者が発見されたのを機に、我が国でも疲労に特化した研究が始まっていますが、多くの現代人が抱えている疲れの正体が「脳疲労」であることを知れば、日々の生活のなかで「過剰な情報から離れ脳を休める必要性」や、「適度な運動を取り入れて睡眠の質を高める大切さ」を抵抗なく理解できていくのではないでしょうか?

 

2005年に報告された「疲労に伴う日本社会における経済損失の算出」によれば、慢性疲労全体によって引き起こされる日本の経済損失は医療費を除いて年間約1.2兆円にも及ぶことが判明したそうです。今や慢性的な疲労は、医学的観点のみならず経済的損失という観点からも大きな社会問題となっているのです。

 

疲れ知らずの体と心を作り出していくことは、社会全体にとっても大切な資産となるものですが、そのうえでキーとなる「自律神経を調整していくメンテナンス方法」や、「過剰な活性酸素を抑え、効率よくATPを作り出すエクササイズ」や、「脳疲労から解放されるデトックス」等については、兼ねてより体力メンテナンス協会が力を注いでお伝えしていることです。

 

これらの内容ついては随時、協会認定のインストラクター体力指導士デトックスプランナーがレッスンや講座を開講しております。ご興味ある方はぜひ私たちに繋がってください。